おかげさまで、地球温暖化防止京都会議の時期に、はじめて自転車発電のお披露目を行ってから、今年で20周年になります。当初、テレビ・ラジカセ・照明などの家電製品を動かせる装置として開発して以来、たくさんの方に発電を体験していただきました。当初は物珍しいもので、イベントで発電してもらうために、「お姉さん、やせるよ!」と言って振り向いてもらったり、「おじちゃん、ここで発電していかなかったら、後で一生後悔するよ!」など、無茶な呼びかけで、大変ご迷惑をおかけしました。
現在では年間数十件の貸し出しや製作代行などを行っており、楽しく電気を体験できる装置として、各地のイベントでもご利用いただいています。また製作方法も公開してきたことから、自作されている方も多くあると聞いております。この20年間でだいぶ広く活用されるようになってきました。
今後とも、電気・エネルギーを考えるきっかけとして、思いっきり楽しみ、そして思いっきり大変さに苦しんでいただければ幸いです。
さて、自動車のオルタネータを使った基本構造は20年間変わっていません。安定していることは間違いないのですが、動作する部品を調達するのが徐々に難しくなってきました。このため、新しい部品で装置ができないか、改良を続けてきたところです。
模索を続けた中で、ようやく2種類、だれでも自作可能な発電装置ができあがってきましたので、紹介させていただきます。まだ改良の余地があり、落ち着いたら順次作り方も掲載していきますし、貸し出しやキットなども対応していきたいと思います。(鈴木)
1)自転車発電ミニ(子どもが参加するイベント向け)
今までと同じように、スタンドが浮くタイプのママチャリの後輪に接続します。発電能力は30W程度に制限されますが、1kg程度しか重さがなく、非常にコンパクトです。自転車のダイナモを大型にしたようなモーターで発電します。
コンパクトになったために、車輪の真下にモーターを設置することができ、スタンドが多少動いてもタイヤとの接触が外れることがなく、自転車を支えていなくても比較的安定して発電することができます。
また、発電のときのロスも少なくなり、以前は足が届かなくて発電ができなった小学校低学年以下の子どもでも、ペダルを手で回すだけで、ラジカセやLEDなどの家電製品を動作させることができるようになりました。
LED電球も楽につきますし、スマホの充電も数台できますから、災害の非常時にも使えるかもしれません。自転車をお持ちの家庭であれば、1台用意しておいてはいかがでしょうか。
2)発電机(廃自転車利用:固定しての利用)
もともとは2014年7月に、当時大阪樟蔭女子大学の石蔵文信教授から呼びかけていただき、共同で製作したものです。
石蔵先生は、健康を考えた発電を広める視点で、「原始力発電所協会」を立ち上げて各地で活躍しています(原子力ではありません、原始力です)。デイケア施設など、お年寄りに楽しみながら運動してもらっています。
以前パリに行ったときに、駅に自転車発電装置が設置されており、空いた時間の暇つぶしに活用している人がおりました。スマホの充電や、ノートパソコンの持ち歩きなど、外出時にも電気が必要な場面も多くなり、こうした充電設備も必要な時代となっています。実用的に自転車発電を活用できる用途です。
発電ユニットのみ作成できますので、あとの椅子とテーブルは自由に設計してください。どうしたらこぎやすいのかは、工夫次第ですが、発電ユニット自体はチェーンが剥き出しのため、きれいに囲ってあげる必要があります。
モーターは、海外で電動自転車として使うためのもので、最大出力は250Wあります。24V程度が出てくるので、市販のトラック向けインバーターで100Vを作り出すことが可能です。実際に試したところ、100Wの白熱電球や、ノートパソコン(充電しながら)もしっかり動作しました。
自転車をざっくりと切ってしまっているのですが、世の中では、大量の自転車が廃棄されているのが現状です。ペダル周りは壊れにくい部分ですので、うまく第二の人生を送らせてあげられたらいいですね。