省エネ対策を今後も進めていくためには、家庭・中小事業所向けの省エネが不可欠になります。ただ、大規模事業者と違って、強制や報告制度で改善が進むものではなく、しっかりとしたサポート制度が必要となります。
特に、金銭的なインセンティブは重要になります。そのための財源として、地方税を導入することを提案します。
現在大阪府の環境審議会に設置されている、「新しいエネルギー社会づくり検討部会」で提案した内容を、紹介します。
1 大阪府家庭省エネ促進税条例(提案)
1.1 家庭省エネ促進税の概要
◯目的
家庭を対象に、非効率なエネルギー利用に対してエネルギーが安価で提供されないよう課税(法定外目的税)により調整するとともに、その税金をより効率的なエネルギー利用の推進に活用する。
◯課税対象者
家庭向けにエネルギー販売を行っている事業者(電力、ガス、ガソリンスタンド)
◯課税標準
家庭の非効率なエネルギー利用に対して、通常より値引きがされている総額。
すなわち、1次エネルギー換算で非効率な家庭のエネルギー利用機器について、その利用に対して通常より大幅に安い単価でエネルギーが提供される制度がある場合、その機器に提供されたと推計されるエネルギー量に単価の差額を乗じた金額。
1.2 課税対象・金額の検討
条件1: 1次エネルギー換算の家庭用機器効率が低いもの
1)自動車:10~20%
2)電気温水器:30% (これに対して、エコキュート:80%~150%)
3)IH電磁調理器具:35% (これに対してガスコンロ:50~55%)
4)電熱暖房器具:35% (これに対して、ガス・灯油暖房機器:80~95%、エアコン120~200%)
※エネルギー効率値は目安です
条件2: 通常より安価でエネルギー提供がされている例
1)オール電化契約(夜間電力) 通常の1/3程度
2)ガスの大量利用者への単価割引
例:144.49円/m3(20~50m3)に対して、130.84円m3(200 ~500m3)
3)ガスの機器割引(エコジョーズ、床暖房、マイホーム発電などで割引)
※灯油やガソリンについては割引販売は一般的にされていない。
◯よくあてはまると考えられる対象
1) 電気温水器
普及率約5%。—-A (全国推計値。)
電気温水器の消費電力量540kWh/月(関西電力カタログ数値)。—B
大阪府世帯数387万世帯。—C
通常単価25円55銭 (関西電力従量電灯A 、300kWh超過分、平成17年4月基準単価)–D
夜間単価8円19銭 (関西電力、はぴeタイムナイトタイム、平成17年4月基準単価)–E
大阪府の電気温水器向け消費電力量 約12億kWh ( A×B×C)–F
値引きをしている単価 17.36円/kWh(D-E) –G
大阪府下の電気温水器に対する値引き金額総額 約200億円(F×G)
※ただしこの全額を徴収すると、市民への影響も大きいため、この一定割合を税として徴収する。また府県と市町村で重複して徴収する可能性があり、目的や税率などで調整を行う必要がある。
※ここ数年の導入は大部分がエコキュートであり、10年後程度をめどに漸減していく。
2)電気蓄熱暖房
普及率 不明
蓄熱暖房機の消費電力量 約10,000kWh/年 (販売事業者数値)
利用料金(上記の夜間単価)
→ 普及の統計データがない、同等の暖房手法の代替案が明確でない
1.3 税金の活用用途
・地域エコポイント制度
・環境コンシェルジュ制度推進(基金)
・電気温水器からエコキュートへの買い替え補助
1.4 市町村も制度をつくった場合の対応
都道府県 → 補助金・エコポイント的制度に利用
市町村 → うちエコ診断・省エネ診断など省エネ推進事業