インターネットを通じて、WEBページ閲覧だけでなく、動画再生やゲームなど多様なサービスが提供され利用が増えている。このときに消費される電力は、スマホ等の端末だけでなく、ネット接続、インターネット通信、サーバーなど、その背後で使われる分も考慮する必要がある。端末の種類や、利用サービスに応じて、どの程度の電力が必要になるのかを整理した。
なお、エネルギー消費の場面を以下のように区分した。
・ネット接続:利用端のモデム・Wifi機器、携帯基地局等
・インターネット:サーバー間通信、海底ケーブル通信、およびその中継装置等
・ユーザ認証:ユーザを特定して各種サービス・広告を提供する基盤
・サーバー:コンテンツ配信・サービス提供に係る設備
1)動画視聴時の端末による消費電力の違い(W)
端末 | ネット接続 | インターネット | ユーザ認証 | サーバー | 合計 | |
スマホ | 1.0 | 26.1 | 27.0 | 5.7 | 0.3 | 60.1 |
ノートPC | 6.9 | 45.3 | 27.0 | 5.7 | 0.3 | 85.2 |
デスクトップPC | 35.0 | 45.3 | 27.0 | 5.7 | 0.3 | 113.3 |
動画視聴(通信量1GB/時間)においては、端末の消費電力より、ネット接続・インターネットに関わる消費電力のほうが多い。特にスマホにおいては、端末が1Wなのに対して、その60倍の電力がインターネットで消費されていると推測される。
2)サービスによる消費電力の違い(W) スマホ1分間利用平均
端末 | ネット接続 | インターネット | ユーザ認証 | サーバー | 合計 | |
WEB表示 | 1.0 | 1.6 | 1.6 | 5.7 | 0.3 | 10.2 |
動画視聴 | 1.0 | 26.1 | 27.0 | 5.7 | 0.3 | 60.1 |
Google検索 | 1.0 | 0.016 | 0.016 | 5.7 | 36 | 42.7 |
AI検索 | 1.0 | 0.016 | 0.016 | 5.7 | 360 | 366.7 |
検索については、1分間に2回検索するとして、1分あたり平均消費電力として算出した。
ネット接続やインターネットに関する消費電力量は通信量に比例すると想定したところ、動画視聴は、WEB閲覧の6倍程度となった。検索については、1回あたりの消費電力量の推計値から求めたが、AI検索の場合には、サーバー側で極端に大きな電力が消費されると推測される。AIの拡大によるデータセンターの消費電力急増が、気候変動対策に反するものとして危惧されている。
3)通信方法によるネット接続に関わる消費電力量の違い(Wh/GB)
ルータ装置 | ネット接続 | 衛星打上げ | 合計 | |
モバイル通信 | 0 | 26.1 | 26.1 | |
光ファイバー通信 | 22.6 | 22.6 | 45.3 | |
StarLink通信 | 178.8 | 8.0 | 186.8 |
1GBの通信において、モバイル通信が最も少ない結果となった。ただし通信利用量(回線容量に対する利用率)が大きければ値が小さくなる。
StarLinkについては、通信アンテナの消費電力(60Wと想定)が大きく、常時接続している場合にはこの負荷が大きくなる。衛星打上げにかかる燃料を電力エネルギー換算して示したが、通信アンテナ装置に比べて1桁以上小さい値と推計された。
4)計算根拠について
計算式や根拠数値、引用については、以下のシートに示す。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1DQD5yt3wvnxeXJbzYihhyJ_PqCsAP1g9vP0VbrhUHyk/edit?usp=sharing