インターネット利用に伴うCO2排出量

投稿者: | 2024-12-22

 インターネットを通じて、WEBページ閲覧だけでなく、動画再生やゲームなど多様なサービスが提供され利用が増えている。このときに消費される電力は、スマホ等の端末だけでなく、ネット接続、インターネット通信、サーバーなど、その背後で使われる分も考慮する必要がある。端末の種類や、利用サービスに応じて、どの程度の電力が必要になるのかを整理した。

 なお、エネルギー消費の場面を以下のように区分した。
 ・ネット接続:利用端のモデム・Wifi機器、携帯基地局等
 ・インターネット:サーバー間通信、海底ケーブル通信、およびその中継装置等
 ・ユーザ認証:ユーザを特定して各種サービス・広告を提供する基盤
 ・サーバー:コンテンツ配信・サービス提供に係る設備

1)動画視聴時の端末による消費電力の違い(W)

端末ネット接続インターネットユーザ認証サーバー合計
スマホ1.026.127.05.70.360.1
ノートPC6.945.327.05.70.385.2
デスクトップPC35.045.327.05.70.3113.3

 動画視聴(通信量1GB/時間)においては、端末の消費電力より、ネット接続・インターネットに関わる消費電力のほうが多い。特にスマホにおいては、端末が1Wなのに対して、その60倍の電力がインターネットで消費されていると推測される。

2)サービスによる消費電力の違い(W) スマホ1分間利用平均

端末ネット接続インターネットユーザ認証サーバー合計
WEB表示1.01.61.65.70.310.2
動画視聴1.026.127.05.70.360.1
Google検索1.00.0160.0165.73642.7
AI検索1.00.0160.0165.7360366.7

 検索については、1分間に2回検索するとして、1分あたり平均消費電力として算出した。

 ネット接続やインターネットに関する消費電力量は通信量に比例すると想定したところ、動画視聴は、WEB閲覧の6倍程度となった。検索については、1回あたりの消費電力量の推計値から求めたが、AI検索の場合には、サーバー側で極端に大きな電力が消費されると推測される。AIの拡大によるデータセンターの消費電力急増が、気候変動対策に反するものとして危惧されている。

3)通信方法によるネット接続に関わる消費電力量の違い(Wh/GB)

ルータ装置ネット接続衛星打上げ合計
モバイル通信026.126.1
光ファイバー通信22.622.645.3
StarLink通信178.88.0186.8

 1GBの通信において、モバイル通信が最も少ない結果となった。ただし通信利用量(回線容量に対する利用率)が大きければ値が小さくなる。

 StarLinkについては、通信アンテナの消費電力(60Wと想定)が大きく、常時接続している場合にはこの負荷が大きくなる。衛星打上げにかかる燃料を電力エネルギー換算して示したが、通信アンテナ装置に比べて1桁以上小さい値と推計された。

4)計算根拠について

 計算式や根拠数値、引用については、以下のシートに示す。

https://docs.google.com/spreadsheets/d/1DQD5yt3wvnxeXJbzYihhyJ_PqCsAP1g9vP0VbrhUHyk/edit?usp=sharing