LEDが省エネであることはよく知られていますが、手作りにも非常に相性がよく、自分で切ってデザインして、いろいろ工夫ができる楽しみがあります。
コンセントの電気を直接使うのではなく、パソコンやラジカセなどに使われる「電源アダプタ」を使いますので、感電などの心配もなく安全です。ちょうど太陽光パネルや鉛バッテリーの電圧と相性がよく、太陽光100%の明かりを作ることも可能です。
使うLEDは「LEDテープライト」と呼ばれているもので、8mm幅のアルミテープにLEDがずらりと並んでいます。途中で切ることもでき、切ったテープを後から配線をつなぐこともできます。実は、店舗のディスプレイ照明などには、数年前から広く使われているものです。
これで安価で実用的な照明をつくることができます。わが家は太陽光のバッテリーで使っており、シャンデリアのようなゴージャスさも演出してくれています。
LEDテープ1本500円で8畳分(35W)の照明
日本では電子工作のお店など限られたところでしか扱っておらず、値段も1本2000円以上と、かなり高くなっています。ここは思い切って、Aliexpressを通じて中国から直輸入をしてください。たどたどしい日本語で心配になるかもしれませんが、経験上安心して取引ができます。1週間から2週間程度時間がかかるものの、送料は多くの場合無料ですし、5mの長さのLEDテープライトが1本250円から1000円程度で購入できます。
今回わが家で使ったのは、5050タイプの60LED/m(1mあたり60個のLED)で、約500円でした。定格上は180lm/W以上と申し分ない効率で、全体で消費電力35Wになります(通常のLED電球5~6球分)。一部を切って8畳分の部屋の基本照明に使っています。色は日本の家なら「ウォームホワイト(電球色)」か「ホワイト(昼白色)」が実用的です。好きな方は、ピンクや緑・青などの色を選んだり、リモコンで色を調節したりする機能がついたものもありますので、賑やかな照明を設計することもできます。
※5V用のものも売られています。USB電源で動かすことができますが、部屋の照明には力不足です。
※Aliexpressではコンセントに直接接続するタイプも売られています。100Vにも対応しているのでプラグの形状があえば使えると思いますが、ご自身の責任でお使いください(そもそも自作もそうですが)。
発熱に注意 →吊り下げたら大丈夫
LEDの敵は、水分と温度(放熱)です。天井に照明をつけるのであれば、水はあまり心配しなくてもいいかもしれません。LEDは意外と発熱が多く、この熱をうまく逃さないと寿命が極端に短くなってしまいます、というかプチンと壊れます。商品はロールに巻かれていますが、決して巻かれたままで電源をつないだりしないでください。
電子工作のお店では、LEDテープライトと合わせて、アルミで作られた放熱板も売られています。きちんと天井や壁に貼り付ける場合には、放熱板を付ける必要があります。
ただわが家では天井にぴったり貼り付けるのではなく、誕生日の紙輪飾りのように、両端を貼り付けるだけで、ぶらさげて設置してみました。デザイン的にもゴージャスですし、これが結果的に放熱には最適のようです。計算上は5050の60LEDタイプは放熱が不可欠なのですが、触ってみても10℃程度の温度上昇に抑えられており、放熱板なしでOKでした。
もう一点心配だったのは、電圧が高くなった場合、過電流で壊れないかという点です。12V定格のLEDですが、太陽光発電で充電をしていると充電時の電圧で14V程度まで上がることがあります。理論上は、電流が流れすぎて発熱で壊れるはずなのですが、「垂らし照明」が効果的なのか、これも一応問題ありませんでした。ただし天井面に貼り付けないなど、ちゃんと放熱がされていることが前提です。
必要な分だけ切って使える
写真のロールケースの中に、テープが5m分(LEDの玉の数は60×5で300個)入っています。両端にはプラス(赤)・マイナス(黒)の線が出ていますので、それぞれ12Vの電源につないだら点きます。12Vなので乾電池8個分。ちょっとした小中学校の乾電池を使った実験でもやるレベルで、驚くほどの明るさが出てきます。
5mの照明は長すぎるので、遠慮なく切って使いましょう。5cmごとに、銅の端子が2つセットでむきだしになっているところがありますので、この銅の中央を、ニッパーなどですぱりと切ります。切り離した両側に銅の端子が残るようにしてください。あとで接続するときにこの端子を使います。
この5cm分にLED3個がつながって1ユニットになっており、このユニットが並列つなぎになっている構造です。ですから12Vの電源さえ接続されていれば、1ユニットだけでも点けることができます。1つの明るさはたくさんつないでも変わりません。
切ったものをつなげる →はんだ付けか専用端子
切ったLEDユニットをつなぐこともできます。はんだ付けが一番ですが、端子を加工する部品も売られているようです。端子ごとに細かく「プラス」「マイナス」が書かれているので、間違えずに接続してください。プラスマイナスは間違えても電流が流れないだけです。
部屋をまたいで接続する場合など、切ったユニットを直列につなぐこともできますし、分岐させて並列につなぐこともできます。直列につなぐと電流ロスが生じて、先端側で明るさが弱くなるのですが、あまり気にならないレベルです。
必要に応じて、スイッチをかませることもできます。
接続のときに特に気をつける必要があるのは、プラスマイナスが接触してしまうことです。これは発火の危険もありますので特に注意してください。製作時には問題なくても、長い間使っている中で、ずれて接触してしまう危険もあります。安全を考えたら、電源側にヒューズを入れておくことも大切です。
電源1:電源アダプタの利用
12Vの電源で、必要なアンペア数以上のものを選んでください。今回の35Wだと、4A以上になります。LEDテープライトの説明で、一番推奨されている方法で、一般的な使い方です。
事務所で試してみました(2018年5月29日)。ちょうど廃棄される12V4Aのアダプタがあったので、つないでみたところ、見事に明るく点きました。テスターの測定では開放時電圧は12.1Vでした。
電源2:太陽光パネルだけによる電源
あまり実用性があるかどうかわかりませんが、鉛バッテリーをつながずに、太陽光パネルから直接LEDを駆動しようというものです。この場合には、太陽光パネルのワット数をLEDと合わせるようにして、決して過大サイズの太陽光パネルをつけないようにしてください。20Wの太陽光パネルで、LEDで20W分の長さ以上で使うと、電圧が上がりすぎて壊れることはなくなります。このときに、LEDを減らして10W分だけにしてしまうと、電圧が上がりすぎてLEDに過大の電流が流れて壊れます。
どのような用途かといえば、オフィスや工場などで、窓が小さく奥まっているなど昼間に必ず照明を使うような場所で、補助的に太陽光を取り入れたいといった場合です。太陽が照っているときには明るくつきますが、曇ると暗くなります。夜は当然点きません。
不便そうですが、バッテリーもないので、とにかく長持ちします。
これは5月中旬から事務所で運用をしています。LEDテープは切らずに定格35W、パネルは手元にあるのが小さく、12Wが2枚で動かしています。定格は19V0.6Aのため、直射があたっても、細かい作業をするのには不足ですが、暗い部屋に日光を少し入れるような感じで役立っています。配線の取り回しだけなので、設置作業も楽です。雲がやってきたりするとそれに応じて明るさも変わるので、外の天気が感じられるという点でも面白いです。
改良1:DCDCコンバータをつなげて電圧を12Vに安定化させる
これができれば、多少大きめのパネルを用意しておくことで明るさの変化を少なく運用ができます。
改良2:アダプタと併用する
このシステムに改良してみましたが、なかなか使い勝手がいいです。ダイオードで太陽光パネルからの電気と、アダプタの電気をそれぞれ逆流しないようにします。スイッチは両方の電源側につけました。アダプタからの出力はダイオードをはさむので、11Vちょっとまで下がりますが、今回はそれほど明るさが必要がないので、ちょうどいい程度に調整ができました。アダプタだけで運用しているときには18Wの消費電力、曇っている状態で太陽光パネル側のスイッチを入れると、太陽光から供給される分が引かれて、17Wになりました。晴れたらもっと減ると思います。
ダイオードは4A流せるものを用意してください。
写真は今回設置したダイオードとスイッチです。下から太陽光に繋がり、左はアダプタです。上部の四角い小さな端子がダイオードで、今回はブリッジダイオードを使いました。とりあえず手元にあった2Aタイプを使ったので、規格外で発熱破壊の心配はありますが、電圧が下がって電流が制限されているので、現状では大丈夫のようです。表面温度70℃で安定しています(ただ夏に向けて、少し放熱器をつけたほうがいいかもしれません)。
もともと60W(30W☓2)のペンダント蛍光灯を使っていたのですが、これとほぼ同じ明るさが出ます。ただ、LEDの一つ一つの素子が明るく光るので、机に置いたプラスチックシートなどに反射した光がぎらぎら眩しく感じられます。これも乱反射シートを貼るなど、改良の余地がありそうです。
電源3:太陽光パネルとバッテリー充電の電源
いちばん実用的な使い方で、わが家もこの仕組になっています。太陽光パネルとバッテリーの接続のしかたについては、わが家のシステムの事例もありますが、これは別途楽しいお話ので、ぜひ調べて作成してみてください。このシステムができているのであれば、12Vがそのまま出力できますので、あとはスイッチを経由してLEDテープを接続するだけです。
以前も大電力LEDなど試しに使ってみたこともありますが、こちらのLEDテープライトのほうが、影ができにくく、はるかに実用的です。
最初に家で導入した方法です。もともと太陽光の充電の仕組みがあったので、接続するだけでOKでした。バッテリーに充電されているので、夜でも問題なく使えて実用的です。
2018年5月18日初出
2018年5月29日追記