省エネ設計シート
2024年10月9日(第3版) 有限会社ひのでやエコライフ研究所
https://hinodeya-ecolife.com/savesheet/
家庭でCO2を減らす全体像が見えます
目次
日本人は、長いあいだ「省エネしましょう」と言われ続けて、それを守ってきました。新しいところでは、2011年の東日本大震災では原発の停止により電力不足となり、全国的に節電が呼びかけられました。1997年に締結された京都議定書では、6%削減の国際的約束を守るために「こまめな省エネ」が呼びかけられました。そもそも「省エネ」という言葉が広まったのは、1970年代の2度のオイルショック(石油危機)での国民的運動からです。振り返ると、戦時中も「ぜいたくは敵」として、燃料や物資を節約することが美徳とされてきた歴史もあります。
だれもエネルギーを無駄に使おうとしているわけではなく、生活を豊かにするために活用されている面があります。それを減らせと言われるのは、たとえ社会のためだと言われても、簡単ではありません。既に省エネの取組みをしてきたのに、さらに減らせと言われるとなると、「もう勘弁して」と思いたくなるのも無理はありません。
本当に何度も繰り返し省エネにご協力いただき、ありがとうございました。
ここで朗報です。もう一度だけ省エネに取組んでいただければ、これが本当に最後になります。「またか」と思われる方もあるかもしれませんが、ご安心ください。最後通告であり、省エネに関してこれ以上のものは出てきません。
危機的な気候変動を引き起こす地球温暖化対策は待ったなしの状況です。2015年に合意されたパリ協定では、21世紀中に温室効果ガス排出を実質ゼロにすることが世界的な目標となっています。今までのような細々した「省エネ」ではなく、本気でゼロを達成する社会・生活に作り変えなくてはならない時代になっているのです。国や行政機関だけでなく、企業も家庭もその実現に向けた取組みが求められます。
世界全体で石油や石炭が今後使えなくなると考えると、地球の未来は暗いと思えてしまいます。けれども、世界の風潮はちょっと違っています。21世紀中に社会が大きく変わることが明らかになり、この機会を逃すまいと、各国・各企業は、新しい仕組みの勝ち組になろうと競争しています。世界中で、温室効果ガス排出をゼロにする目標を定める国や自治体が増えています。環境に配慮した先進地域の取組みというわけでもなく、途上国なども積極的に実現に向けて進んでいます。さらには、世界の巨大な有名企業も、積極的に排出ゼロに向けた計画を実現させようとしています。豊かさや利益につながるから省エネをしているのが世界の潮流です。
こうした世界の流れに気づくことなく、石油や石炭に依存していると、そんな国や地域は衰退していきます。省エネレベルの低い企業は、市場からそっぽを向かれ、存続できません。そんな時代になっているのです。
日本で生活していると、こうした世界の動きに気づきにくいものです。今までの「省エネ」を基準に考えていたら大間違いです。日本が省エネ先進国だったのは20年以上前の話で、現在は世界の省エネ後進国への道をつき進んでいるのです。実際に、日本ほど家の断熱性能が低く、冬の寒さでこごえている国は、途上国でも見当たらない程です。
世界でも化石燃料からの脱却はそう簡単には進みませんでした。そんな行き詰まり感に明るい陽射しが見えてきたのは、2010年代になってからで、再生可能エネルギー(通称:再エネ)の価格が急激に下がり、むしろ儲かることがわかってきてからです。日本でも、屋根の上に太陽光発電を設置する家庭もふえているほか、大規模な太陽光発電所や、巨大風車などが林立するようになりました。FIT(フィット:固定価格買取)制度により、設置費用が回収でできるようになったことが大きな後押しとなっています。
太陽光と合わせて住宅の断熱も実施すると、エネルギー消費を実質ゼロにしていくことも可能です。そんな家庭が一般的になってきており、大手ハウスメーカーの建てる住宅は、ZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)が標準となっています。いま住宅を新築するのなら、太陽光を載せることと、断熱をすることは、考えておいて損なことはありません。
もし屋根がない家庭でも、電力自由化により、再生可能な発電でつくられた電気を選んで購入することもできるようになっています。省エネだけでは、ゼロにすることはできませんが、組み合わせることによって化石燃料の使用をゼロにしていくことも可能です。
ただ再生可能エネルギーの量は、まだその量が限られており貴重です。無駄なエネルギー消費を減らすことは、確実に光熱費削減につながりますので、再生可能エネルギーと組み合わせることで、最も効果的な方法でゼロにする方法が見つかります。
では自分の生活に戻って、いったいどうしたら、CO2を減らせる豊かな暮らしを作れるのでしょうか。
この「省エネ設計シート」を使うことで、自分の生活のどこに省エネをする余地があるのか、どの程度減らせるのか、簡単に調べることができます。
省エネといっても、時間を減らしたり、設定温度を控えめしたりといった、利便性を減らすものばかりではありません。新しい省エネ機器など次々に実用化されており、寿命がきた段階で適切に買替を進めることでも、半分くらいまでエネルギー消費を減らすことができます。初期投資がややかかる場合もありますが、光熱費が安くなるほか、快適性や健康面でのメリットがある場合もあります。長期的な視点で、いいものを選ぶようにしてください。
さて、半分程度まで省エネで減らすことができれば、のこりは再生可能エネルギーでまかなうことは現実的に十分可能です。
さあこれでゼロとなり、完結です。これ以上「省エネ」を言われる筋合いのない、エネルギー面での持続可能な生活は目の前にあります。気楽な気持ちで、ゼロの生活がどうできるのか、いちばん簡単な方法を探ってみてください
省エネ設計シートは、簡単に家庭の省エネ対策を見つけることができ、ゼロを達成するための方法を組み立てていくことができるように工夫しています。
家庭全般で検討する方法もありますが、まずは1場面だけでも比較してみるのもおすすめです。
場面ごとには、シートのマス目を数えるだけで、どれだけ削減できるか結果を出すことができますが、家庭全体では「掛け算」が必要になってきます。掛け算が面倒な方向けには、スマホでもPCでも使えるWebアプリを無償で公開していますので、ご活用ください。結果のグラフなども表示できるようになっています。
なお、エネルギー消費量を減らす「省エネ」と、CO2排出量を減らす対策とは、一致するわけではありません。このシートでは、家庭由来のCO2排出量をゼロにすることを前提に設計しているものですが、家庭での対策として「省エネ」が一般的につかわれてきたため、「省エネ設計シート」と呼んでいます。エネルギー転換を伴わない場合には、エネルギー消費量とCO2排出量が同じ動きをするため、最終的にはCO2排出量削減ですが、各分野の説明の中で「省エネ」や「エネルギー消費量」として示す部分もあります。
これが省エネ設計シートの基本です。わかりやすい例として、「家にある全てのテレビの使用時間」について、省エネの効果をみてみましょう。
「家にある全てのテレビの使用時間」について、マス目で選択肢が並んでいます。左ほど使用時間が短く、右ほど時間が長くエネルギー消費量も多くなっています。おおよそ何時間使っているか選びます。
表の上側の緑の行には、-5から6まで、1ずつ数値の目盛りがふってあります。選択肢の「8時間」のところが「平均」と書かれていて数字は0です。左にいくとマイナスで「省エネ」になります。右はプラスの数字になって「消費が多い」と書かれています。この目盛りは、日本の平均的な世帯を0として、それより省エネなのかエネルギー消費が多いのかを比較できるようになっています。日本の平均的な世帯のテレビ視聴時間は8時間程度です。
さて、ふつうのアンケートの選択肢と違って、時間の幅が一定でないことに気づいた方もあるかもしれません。ここが省エネ設計シートの重要な点でます。比率が同じになるようにつくられています。1マス左になると約2割減、3マスで約半分(2倍)、10マスで10分の1(10倍)の差が出てくるように作っています。例えば8時間の中央のマスから、右へ3つずれると16時間ですので2倍になっています。逆に左に3マスずれた「-3」の場所は4時間ですので、ちょうど半分になっています。およそ2割削減を3回積み上げると、半減することができます。
ここまではテレビの視聴時間の話なので、時間を半分にしたら、エネルギー消費も半分になるのは明白です。わざわざ3マス移動させなくてもわかる話です。
では、次の例はどうでしょうか。
質問は3種類あります。「よく使うテレビのサイズ」「省エネ性能」「テレビの使用年数」の設問が設定され、それぞれに選択肢が並んでいます。この並びは、各種統計やカタログ値などから、テレビの機種によってどの程度のエネルギー消費の差があるのかを考慮して配置しています。
テレビのサイズでみると、大型である「56~60インチ」と小さめの「31~40インチ」のサイズでは、どのくらい消費電力に違いがあるでしょうか。「56~60インチ」(省エネ度は+2)から「31~40インチ」(省エネ度は-1)まで3マス分だけずれているので、切り替えることで、消費エネルギーを半分にすることができます。
使用年数をみると、8年以上前の機種(+1)から、新品に買い替える(-2にする)と、同じ大きさでも半減できることになります。
省エネ度の数値は、ざくっとした数値ですが、目安として使うことができます。マス目を数えることで、どの程度省エネになるかわかるようになっています。
選択肢は一列並んでいるだけですが、2度おいしい使い方ができます。平均的な家庭と比較することができますし、また自分で何を取り組めるのかも検討できます。
まずは今の生活の現状を把握しておくことが大切です。どんな機器を使っているのか、どれだけの時間を使っているのか回答してください。
選択肢の省エネ度が0となるのは、おおよそ「平均」的な世帯と設定しています。自分の暮らしが、平均より省エネなのかどうか、どの面が改善余地があるのか探ることができます。
個別の設問だけでなく、その分野の点数を合計してみると、その分野のエネルギー消費量を平均と比較することができます。「暖房が平均より2割も多いなあ」とか、「風呂は平均的家庭よりも少なく過ごせている」など、把握することができます。
省エネとしての目標は、まずは半減させることです。それぞれの分野で、組み合わせ3マス左に動かすことができないか、可能な組み合わせを考えてみてください。
また、もともと少ない場合などは、さらに半減させるのは難しいかもしれません。現状とくらべて半減する以外にも、対策後で平均と比べて半減できていればそれも成果です。
さらに面白いことに、テレビのエネルギー消費を半減させるためには、どれか一つの設問で3マス動かす必要はなく、設問の合計で3マス左に動かすことができれば、結果的に半減できることになります。
例えば、8年以上前のテレビを新しいテレビに買い替える(-3)時に、ワンランク大型のテレビがほしかった(+1)としても、今までと違って省エネ型を選ぶ(-1)ことで、合計は-3になり、半減することになります。このように、組み合わせて減らすことができます。
もちろん今すぐ減らす必要はなく、あと4-5年使ってから買い換えたら、そのときにどれだけ減らせそうか検討しておくのにも、使えます。
この省エネ設計シートは、分野ごとに1枚になっており、それぞれ検討をします。分野としては、車、暖房、冷房、風呂・シャワー、食器洗い、調理、冷蔵庫、照明、テレビ、パソコン、温水便座、電気の12分野が用意されており、それぞれ設問と選択肢が並んでいます。
各分野ごとに半減することが検討できたらいいのですが、中には生活に不可欠で、どうしても減らせないという分野も出てくると思います。その場合には、無理に各分野で半減するのではなく、全分野をとおして半減できるように試みてください。
それぞれの分野で比較したり、対策を考えることができますが、ここから「家全体」でどこまで削減できるのか検討したいところです。しかし分野を組み合わせると、単純にマスの数を数えるだけでは評価はできません。
全体で半減できたかどうか、平均と比べてどの程度なのかは、少し「掛け算」が必要になって面倒になります。これもWebアプリでは自動的に計算してくれます。
特に、暖房や給湯、自家用車などは、家庭において大きな割合を占めています。このため、こうした分野で削減を稼ぐことができれば、他の分野は多少は手を抜いても削減につながります。電気は、少し違った視点で、CO2削減を計算します。
WEBアプリでは、最初の画面で地域と世帯人数を選ぶことができるようになっています。世帯人数ごとに平均的な消費量が大きく違ってきますので、設定することでより適切に比較をすることができます。
また温暖地域か寒冷地域かによっても、特に冷暖房の消費が異なってきます。もともと温暖地域(東京から福岡あたり)の気候をベースに設計されたものですが、補正をかけることによって、北海道から沖縄まで一定の誤差の範囲で推計できるようにしています。
出典)温室効果ガス排出インベントリオフィス http://www-gio.nies.go.jp/index-j.html より作成
分野ごとに評価していくのですが、特に順番があるわけではありません。自分で興味のある分野だけチェックするのも問題ありません。
ただ全般的に削減をめざすのであれば、消費の少ない分野は後回しにしたり、面倒なら止めてもらっても構いません。割合の大きな分野から始めてもらうのが近道になります。
家庭由来のCO2排出量に占める割合として大きな分野としては、自家用車、暖房、給湯があげられます。家庭や地域によって大きな違いが出てきますが、おおむねこの3分野の合計で、家庭のCO2排出量の半分以上を占めますので、まずはここから始めてみてはどうでしょう。
車の必要性は、住んでいる地域によって大きく違ってきます。公共交通が整備されていたり、歩ける範囲にスーパーや病院などが整備されている地域では、車はそれほど重要ではないでしょう。けれども、郊外では車がないと生活ができないという地域もあります。状況に大きく依存するため、たくさん車を使っているから悪いとは単純には言えません。
見方を変えると、利用が多い場合には、工夫や対策で削減できる余地も大きく、金銭的にも元が取りやすいことになります。電気自動車など環境性能の非常に高い車も選択できるようになり、今後主流になっていくという世の中の流れもしっかり見ておきたいところです。
そもそも車(原付やバイクを含む)を使っていなければ、消費は0になります。言葉で言うと簡単なことですが、実はこのシートの性質上、マス目の数で表現をすることは、どうやってもできないのです。このため、車を使っているかどうかは、一覧表の前に尋ねています。使っていない方はシートを見ずに、このページを終わりにしてください。
出典)経済産業研究所report https://www.rieti.go.jp/jp/special/special_report/083.html
車のサイズによって、燃費は明確に変わってきます。平均約60kgの人間を運ぶために、場合によっては1t近くもの車体を使って運ぶのはその分エネルギー消費が多くかかることになります。660cc以下の軽自動車から、1801cc以上のバンなど大型車まで分けていますが、その車体重量に相当する燃費の違いはおよそ倍になります。
-5ととびぬけて小さい値を誇っているのが、原付です。おおむね軽自動車に比べても倍以上の燃費となります。燃費がいいことで長年親しまれているホンダカブの場合には、カタログ値で105km/Lとなるものもあり、最も低燃費となる小型車のさらに3倍以上となり、数値としては-8くらいでしょうか。表からはみ出してしまいます。
ここでは車の種類と使用年数をいっしょに尋ねています。ハイブリッド車や電気自動車は別格としており、ガソリン車については近年の燃費向上を受けて使用年数で違いを設けています。複数台ある場合には、もっともよく使う車を選んでください。
ガソリン自動車の燃費向上は、エンジンの改良が進んでいる面のほか、自動アイドリングストップなどの機能も含めてトータルでのエネルギー消費の削減が進んでいます。1995年と比べると、新車の燃費は2倍近く向上しています。
出典)資源エネルギー庁 エネルギー白書2023 https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/2-1-2.html
しかしエンジンでは、低出力時に効率が低下する性質があり、もともとガソリンの持つエネルギーの最大で2割程度しか回転エネルギーに転換することができません。まだまだ、ハイブリッド自動車や電気自動車のほうが、CO2排出量がよくなっています。
ハイブリッド自動車ではその弱点を克服するため、エンジンのほかに電気駆動のモーターも併用しており、エンジンが常に高い効率をだせる出力領域で動作させて発電を行ったり、モーターのみで運転させたりしています。車体内でのモーターを使った発電や充電、モーター駆動のそれぞれでもエネルギーロスが生じますが、それ以上にガソリンエンジンを効率的に動作させるメリットのほうが大きくなっています。
電気自動車は、エンジンを搭載せず、商用電源で充電を行ってモーターで駆動させています。発電所で電気をつくるにあたって、化石燃料の持つエネルギーのおよそ6割が熱として捨てられ、電気に変換されるのは4割に限られます。さらに、充電・モーター駆動においてもロスが生じますが、それを含めてもガソリンエンジン車よりも、倍近くの効率となります。ハイブリッド自動車でも、充電をして走行することができる「プラグインハイブリッド車」の場合も、同じような性能となります。
現状では、火力発電の占める割合が大きいために、この位置になっていますが、将来的に再生可能エネルギーを使った電気の割合が増えれば、ガソリン車に比べてさらに大きく削減につながる可能性があります。将来でなくとも、電力会社を選ぶこともできる時代になっていますので、電力会社の選択で減らすことも可能です。
さらにここには書ききれませんが、電動アシスト自転車は、原付と比べてもさらにCO2排出が10分の1以下になります。1回の充電で、平地で30kmから60km近くも走り、アシスト弱設定ではさらに距離が伸びます。坂道が多い地域などであっても、自動車やバイクの代替としても活用できます。もちろん、アシストなしの自転車であればそもそも電力も消費しませんので、平地の近距離でことが足りる人は健康のためにも、なるべくアシストなしを活用ください。
(参考:技術的情報) 充電容量ベースで、電動アシスト自転車は小型の200Wh容量(8Ah,25V)で平地走行30km程度アシスト可能なので、1kWhあたりで換算すると150km。電気自動車は約5km/kWhとされる。
ちなみに、公共交通機関を利用することもCO2削減につながります。同じ距離の移動であれば、バスは車の約3分の1、鉄道は約9分の1になります。
車を複数台保有している場合はその合計としてください。毎日でない行き先も多いかもしれませんが、1日平均にならしてお答えください。
特に、年数回家族で遠距離ドライブに行く場合には、面倒ですが1日あたりに換算して、追加してください。ふだんから通勤などで使っている場合には、あまり影響しない場合もあります。例えば年2回の旅行で、往復600km程度運転する場合、1日あたりに換算すると3km程度になります。
同じ車でも、運転のしかたによって2割程度燃費が違ってきます。エコドライブの方法として、警察庁・環境省・経済産業省・国土交通省などで構成されるエコドライブ普及連絡会が「エコドライブ10のすすめ」として紹介しています(2020年1月改正版)。
出典)エコドライブ普及連絡会 http://www.ecodrive.jp/eco_10.html
いずれも燃費が向上する効果があるものですが、あわせて余裕のある運転になるので、安全につながるというメリットもあります。業務で車を運転しているトラック運転手などは、エコドライブ講習会を受けることが一般的ですが、これは燃料代が確実に安くなる以外にも、安全な運転で事故が減るというメリットもあるため、業界として推進されている面もあります。
出典) 国土交通省 https://www.mlit.go.jp/kisha/kisha05/01/011222_3_.html
ひとつおすすめを言えば、2番目のふんわりアクセル「eスタート」です(上図)。自動車をスタートするためには、エンジンをふかして加速する必要はなく、アイドリング状態からブレーキを外すだけで加速を始めることができます。車を転がすようにスタートし、5秒で時速20km程度のゆっくりしたスタートをすると、燃費が大きく改善します。
赤信号で停止させる場合に、赤信号の直前まで走行してブレーキを急にかけて止まるのではなく、赤信号が遠くに見えた段階でアクセルを離して自然と停止するような感じが効率がよくなります。発進もその逆の感じで、自然と発進する程度が効率がよくなります。
車の種類によっても、おすすめの対策は違ってきます。アイドリングについては、ハイブリッド自動車や電気自動車では、運転手が気を付ける必要がなくなっているものです。
逆に、電気自動車で重要になってくるのが、エアコンの使用です。ガソリン車ではエンジンで多くの排熱が発生しており、冬場の暖房ではこの熱を利用して暖めることができます。しかし電気自動車ではエンジンの熱がないため、充電された電気を使って暖房をする必要がでてきます。電気自動車やプラグインハイブリッド車の場合には、暖房をつけていると燃費(電費が大きく悪化しますので注意が必要です。
毎年10月の体育の日に合わせて、日本人の体力測定結果の統計が公表されます。性別、年齢、地域ごとのほか、大都市と町村部などの違いも統計で示されています。運動基礎能力の一つとして、20mを往復する回数を測るシャトルランというテストがあるのですが、大都市に住んでいる男性と、町村部に住んでいる男性で、どちらがより体力がある結果になっていると思いますか。
出典)スポーツ庁、体力・運動能力調査結果 より作成
屋外で農作業をするイメージがある町村部の男性のほうが、健康的で体力がありそうな感じもありますが、意外と大都市に住んでいる男性のほうが、より体力がある結果となっています。おおよそ年齢で比較すると5歳程度、大都市部の男性のほうが若いという結果になっています。
なぜ体力があるかと言えば、町村部で暮らす人は家から会社まで車で移動するだけで、実際に歩くことが少ないことが指摘されています。大都市では鉄道に乗るために階段を上がり下がりしたり、満員電車で立ちっぱなしだったり、意外と足腰を使うことが多くなっています。
車が便利であることは間違いないのですが、全て依存してしまうと、自分の体力を失ってしまうことにもなりかねません。たまに近所に出かけるときだけでも構わないので、車を使わずに自分の足を使うということも、健康のためになります。
また誰でも高齢になり、いつかは運転免許を手放すことになります。車のない生活をいずれすることになることを考えると、公共交通を維持したり、生活の必需品を提供されるサービスを社会でつくったり、車がないと生活できないという環境を変えていくことも必要になるかもしれません。インターネット技術を活用して仕事をしたり、通販をしたりする仕事も事例として増えていますし、病気の診療もスマホを使うなどの試みも始まっています。長期的な視点では、車をつかわなくても暮らせる街づくりが重要なカギになりそうです
家庭では暖房の割合は比較的大きく、全国平均で16%程度(2018年)を占めます。地域による差も大きく、東北の北部や北海道では3割以上になる一方、沖縄ではほとんど0になります。比較的暖かいとされる関東から四国・九州でも、冬場の朝晩はかなり冷え込むことが多く、冬場には家の光熱費が上昇します。対策には多様な工夫があり、検討のしがいのある分野です。
その中で決して欠かすことができない視点は「断熱」です。
断熱のできていない寒い家で過ごすことは、健康面で大きなマイナスになることが明らかになっています。暖かく過ごすことは健康面・文化面の権利として、その上で省エネの選択を考えることが大切です。
暖房をする部屋数が多いほど、暖房対象の面積も広くなり、暖房消費が大きくなります。家族がばらばらで過ごすよりは、リビングなどに集まって過ごすことができれば、1部屋ですみますので暖房を減らすことができます。
だんらんのメリットは、もちろん省エネだけでなく、家族でゆったりした時間を共に過ごせるところにあります。テレビを見たり、ゲームをしたりでもいいですし、子どもの勉強にもいいようです。子ども部屋で独りで勉強するよりは、家族に見守られながら勉強するほうが、成績が良くなるという話もあるそうです。
ただ、トイレや風呂の脱衣所など、生活に必要な場所が無暖房の状態では、温度差が激しくなるため、急な血圧変動が発生し、健康を害することにつながってしまいます。こうした部屋まで暖めておくほうが健康のためには大切になります。全部屋を一定温度維持するのが一番快適ですし、健康のためにもプラスになります。その条件を目指すことを前提で、下の取組みで減らせないか考えてみてください。
暖房する時間が長くなると、暖房負荷も大きくなります。ただし時間に比例して暖房負荷が大きくなるわけではありません。
寒い部屋を暖めるために、暖房をつけたときには多くのエネルギーが消費されますが、部屋が暖まった後は、窓や換気などを通じて熱が逃げてしまった分を補うのに使われるだけですので、比較的少なくなります。断熱がしっかりできている家屋の場合には、ほとんど暖房負荷がかからないようにすることも可能です。
ここも理想的には24時間いつでも暖房できているのが望ましいです。そしてもっと望ましいのは、暖房時間を0にしても暖かく過ごせるような家の設計です。24時間と0時間だと両極端のように思えますが、実は意外と深くつながっています。
地域によって暖房を使う期間は異なってきます。また断熱ができた家の場合には、暖房をつけ始める時期は遅く、春に暖房を使わなくなる時期も早くなります。部屋を暖める暖房をどのくらいの期間使っているのか、選んでください。
暖房器具にはたくさんの種類がありますが、どの機器で暖房するのかによって、CO2排出量が大幅に変わってきます。選択肢をみても、幅広く分布しているのがわかります。
飛び抜けて一番右に出てくるのが電気熱暖房です。電気ストーブや電気ヒーター、電熱式の床暖房など、電気をそのまま熱として使う機器にあたります。電気を作り出す火力発電所では、ガスや石油などの燃料を電気に変換する効率が4割程度しかなく、残りの6割は熱として捨てられています。このため暖房として使うためには、ガスや灯油をそのま家庭まで持ってきて、燃やすほうが効率がよくなります。
同じ電気を使う暖房でも、エアコンは-1となり、かなり省エネ側に位置づけられています。これは、エアコンが「ヒートポンプ」機能により、屋外の熱を使って暖房をしているためで、消費する電気の3倍から7倍程度の効率で部屋を暖めることができるためです。
ヒートポンプは「熱」のポンプという意味です。エアコンには室外機と室内機があり、セットで運転がされます。エアコンの冷房で考えると実感しやすいのですが、夏の冷房で室内機から冷えた空気が出てくる一方、室外機からは近所迷惑な熱い空気を放出しているのを覚えているでしょうか。室内の熱を奪った分を、室外機から捨てているのです。エアコン暖房はその逆で、屋外の熱を集めて室内に送り込む仕組みで暖房をしています。その証拠に、暖房時の室外機では、熱を取り除いた残りである極端に冷えた空気を放出しています。熱を作りだしているわけではなく、移動させているだけなので、数倍の熱で暖房ができるのです。
出典)国立環境研究所 環境展望台(元資料:一社)日本冷凍空調工業会) https://tenbou.nies.go.jp/science/description/detail.php?id=11
(参考:技術的情報) ヒートポンプを動かすためにはもう一点、「冷やす」しくみが重要になります。ここで2種類の物理現象を活用しています。 1つは気化熱。汗をかくと体が冷えるように、水など液体が蒸発するときに熱を吸収して冷たくなります。逆に気体が液体に戻るときには熱を放出します。 2つ目は気圧による沸点の変化です。料理で使う圧力鍋は、圧力を上げることで水が蒸発する温度を高くし、高温で調理を早く進めるしくみです。ふたをあけると、中の気圧が下って一気に蒸発してしまうので、一定温度が下ってからふたを開ける必要があります。 エアコンの内部ではこの2つのしくみを活用し、コンプレッサーを使って圧力をかけて液体にする部分で熱を発生させ、圧力をさげて気体にする部分で熱を吸収させる(冷やす)ことを実行しているのです。それぞれの熱を室内機と室外機で放出したら、エアコンの完成です。 ちなみにヒートポンプ効率の上限は理論的に決まっており、温度差÷(外気温の絶対温度)になります。実用的なエアコンとしては、現在の性能はほぼ限界に近くなっています。
ただ、エアコンでは暖まらないと考えている人も多いのではないでしょうか。使い方によっては、エアコン暖房はまったく意味のない場合もでてきますので、あわせて使い方にも注意する必要があります。エアコンは、天井付近についているため、暖かい空気を出したとしても、暖気は軽くて天井付近に集まり、床に届かないことがあります。たいてい人間は床付近で過ごしていますので、天井ばかりが暖かくなって意味のないどころか、逆に頭がのぼせて不快に感じることもあります。エアコンで暖房を使う場合には、少なくとも最初は床までしっかり風が届くように強風で運転させる必要がありますし、床に冷たい空気が入り込まないよう、まどの隙間を防いだり、扉を閉めたりすることも必要になります。そうした条件で運転させてはじめて、エアコンが暖房として機能できるのです。このため、すきまの多い古い家ではエアコン暖房は難しいかもしれません。
出典)ecolife情報 https://www.hinodeya-ecolife.com/ecowiki/44.html、 省エネ型製品情報サイト https://seihinjyoho.go.jp/ のデータを元に作成
エアコンで暖房する場合、性能によって効果は大きく違ってきます。最近のエアコンの省エネ性能向上はおおむね頭打ちになってきています。ただ現在販売されている機種で、省エネ型とそうでないタイプで、性能の差があり、購入時に省エネ型を選ぶことで削減につながります。省エネ型機種は、暖房をより快適にする機能が考慮されています。
屋外が寒い冬は、部屋の中が暖かいければ暖かいほど、幸せに感じることがあります。もともとの暖房の目的である「寒さで健康を害さないようにする」のであれば、20℃でも十分効果があるのですが、人間はもっと暖かい状態をつい求めてしまうのです。そう考える習性があるためか、人を誘い込むがとても上手なショッピングモールは、冬場の暖房設定温度を25℃に設定しているそうです。
ちなみに夏の冷房の目安は28℃ですが、ショッピングモールはおおむね25℃に設定がされています。不思議なことなのですが、通常私たちは夏は薄着をして過ごしており、冬はコート着用な厚着をして暮らしています。室内が同じ25℃に設定しているのなら、夏は寒い思いをしているはずであり、また冬は暑い思いをしているはずなのですが。それを快適と考える人間は不思議な生き物です。
暖房の省エネ設定の目安は20℃です。寒い時期はどうしても設定温度を高めに設定しがちですが、厚着をするなど体が求める快適な温度で過ごす工夫をすることができます。ただ逆に、室温が20℃を下回ると、健康面での問題も生じやすくなります。若い健康な人なら20℃でも健康上問題なかったとしても、高齢者などは、20℃以上に設定したほうが健康面で望まし場合もあります。
WHOでは、健康のために、冬でも居住空間の温度を最低18℃に保つことを求めています。北京の集合住宅では、各部屋が18℃以上になることが行政の義務とされ、定期的なチェックをしながら熱供給がされています。ところが、日本ではその18℃が達成できている住宅は、居間であっても6割以下、寝室では1割以下という貧しい状況となっています。途上国以下の快適性しかないのが、日本の現実です。
(参考:技術的情報) 温度設定を下がると省エネになる仕組みについて簡単に説明します。暖房エネルギーは、室内の気温と外気温の差に応じて決まります。寒いと暖房負荷が大きくなりますが、同じように部屋の暖房温度を高めにすると暖房負荷が大きくなります。部屋の温度を20℃にするのに、もし外気温が20℃あればエネルギーをかけなくても温度を維持できます。一方、外気温が0℃の場合には、20℃分の加温を維持するためのエネルギーが必要になります。単純化して考えると、設定温度を2℃控えめにすると1割削減ができることになります。 エアコンのJIS規格では、暖房負荷を計算するのに、室内温度を20℃に維持する想定において、14℃と外気温の差に比例するという計算式で求めています。20℃との差で熱が逃げるはずなのですが、それに対し6℃分低くなっていますが、これは家電製品や在宅する人の体からの発熱により、暖房を使わなくても維持できる分があるという想定です。
戸建て住宅では、外気に接する壁面が4方向あり、暖房をしても熱が逃げやすく負荷が大きくなりがちです。集合住宅のほうが上下左右を住居に囲まれているため、熱が逃げにくく、暖房負荷が減ってきます。
出典)平成30年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/chosa1801-2.pdf
さらに集合住宅では、住む階によっても暖房負荷が違ってきます。1階の場合には暖房負荷が多めで、2階以上のほうが省エネかつ快適になります。これは1階に住む人が暖房した熱が天井に伝わり、2階の人にとって床暖房状態になるためです。ちなみに2階の人は快適なのであまり暖房をつけずにも済むため、3階の人は少し寒くなり暖房消費が少し多めになるという話もあります。
あと選択肢には示していませんが、日の当たり方により、部屋ごとに暖かさが違ってきます。昼間は、暖かい場所を探して移動することで、暖房を使わずにも快適に過ごせることがあります。そんな「暖かい場所」を探すのが得意なのが猫です。猫は、家の中で一番快適な場所を探し当て、その場所に居座ります。つまり、猫がいる場所を見つけたら、猫を押しのけてそこで過ごすようにできれば、一番快適な暮らしができるというわけです。きっと陽だまりの暖かい場所でしょう。
出典)資源エネルギー庁 省エネポータルサイト(元資料:一社)日本建材・住宅設備産業協会) https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/
魔法瓶のように熱が逃げなければ、エネルギーを使わなくても暖かさを維持することができます。暖房は家から熱が逃げいていく分を補うのに使われています。暖房器具をどうこうする前に、熱が逃げている場所を探るのが一番です。
家から逃げる熱のうち窓の割合が高くなっています。旧断熱基準の住宅ではおよそ半分程度が、窓から逃げていることが推測されています。このため、窓の断熱をしっかりすることで、暖房負荷を大きく減らすことができます。
家全体の断熱工事は大工事になりますが、幸いに窓だけであれば比較的簡単に断熱強化することができます。窓ガラスを二重にしたり、low-eガラスと言われる輻射熱によるロスを減らすもの(魔法瓶の銀メッキのような役割)もありますし、熱を通しやすいアルミ枠を樹脂枠にしたタイプも省エネ窓として主流になりつつあります。
新しく住宅を建てる場合には、「省エネ基準」が目安となります。設計の段階で、省エネ性能を評価するプログラムが国から公開されており、参考になります。
断熱がしっかりできた家のメリットは、暖房消費を少なくできるというだけでなく、家全体の温度差が小さくできるという点もあります。トイレや風呂を使うときに、極端に寒いと血圧が急上昇して、体への負担が大きくなり、ヒートショックという現象が起こり、統計的に死亡率をあげるほどの大きな問題となっていますが、これを改善することにつながります。もちろん快適性も向上します。
断熱ができた住宅に住み替えた方への大規模なアンケート調査の結果では、以前の住宅に住んでいたときに患っていた病気が、住み替えによって改善していることが明らかになっています。
出典)環境省住宅のクールチョイス https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/kaikae/housing/
新型コロナ対策のために、換気も適切に行う必要があります。ただあまり開けっ放しにしておくと暖気が逃げてしまいます。ちなみにコロナ以前からも換気の重要性は指摘されており、新築住宅においては、2時間で1回以上空気が入れ替わるように換気のシステムを設計することが義務付けられています。また、室内でガスや灯油を燃やす暖房をしている場合には、有害な排ガスも排出されますので、30分に1度くらいは換気をして、空気を入れ替えることが大切です。
より暖かく過ごす工夫によって、暖房消費を2割程度減らすことができます。
窓の断熱が効果的ですが、改修までしなくても取組めることも多くあります。床まで届く厚手のカーテンをつけたり、雨戸を夜に閉めるのも、断熱効果が向上し有効です。
そのほか手軽にできる対策としては、ホームセンターなどで断熱シートを購入して設置する方法があります。スポンジで銀色のアルミが蒸着されている「アルミ断熱シート」と、空気の粒が並んだいわゆる「プチプチシート」の2タイプがあります。
「アルミ断熱シート」は、アルミ面で熱を反射します。このため、こたつの下や電気カーペットの下に敷くと、熱が床に逃げるのを止め暖房効率が高くなります。比較的寒くない時期には、電気を通さなくても、足の熱だけで温かさを感じることもできます。寒い時期には、台所に立っているのも足元が冷たいものです。シンクの前など足元にアルミ断熱シートを敷いておくと、足が冷たくなくて快適です。
「プチプチシート」は、窓に貼ることで断熱性能が高まります。空気の層があるので、熱が逃げにくくなります。窓の断熱が向上すると、単に省エネになるだけでなく、快適性でもメリットがあります。窓で冷やされた空気は重くなり床を伝わって部屋に広がっていきます。畳部屋など床で過ごしている場合には、ちょうど窓から冷たい空気が流れこんでくる感じになり、余計に寒さを感じます。また、窓で冷やされた空気は、水蒸気を含み切れずに窓に結露が生じます。あまり結露を放置していると、カビの発生にもつながってしまいます。断熱の工夫をすることで、軽減することができます。
幸いなことに、人間は熱を発生させています。これを逃がさないようにできたら、自分の体温で暖かく過ごすことができます。
ウールやダウンなど、厚着をすることで、熱の放出を防ぐことができます。最近は、軽くて動きやすいタイプも出てきていますので、活用してみてください。また首からも熱が逃げやすくなっており、ネックウォーマーなどが効果的です。人によっては頭を帽子などで覆うことが効果的な方もあります。身体の中心が暖まると、手足など先端にも熱が行き渡るようになります。
冬場の寒い場所では、手足の血行が悪くなり、冷たくなってしまいがちです。なるべく熱が逃げないように、厚手の靴下を二重にはいたり、室内履きのスリッパを使ったりなど、工夫をしてみてください。
部屋を暖めるのに比べて、身体を直接温めるほうが、同じ暖かさを得るためにはエネルギー消費は少なくてすみます。重さはありますが、昔ながらの「湯たんぽ」も有効な手段です。わざわざ購入しなくても、ホット対応のペットボトル(ふたがオレンジ色のもの)でも代用できます。
部分暖房にはなりますが、こたつやホットカーペットも、身体の一部分、特に足元を温めるものでもあり、快適性が高いわりにエネルギー消費量は小さくなっています。
こたつのヒーター消費電力は500W程度と記載されていますが、温度調節でONとOFFが繰り返されるので、平均的には100W程度しか消費しません。石油ストーブの15分の1程度しかCO2を発生しない計算となり、これで家族が暖まることができるというのは、世界に誇るべき日本の省エネ器具の筆頭と言っていいでしょう。ただ、そのこたつにも致命的な欠点があります。一度入ると二度と出てこれなくなるという問題なのですが、この問題を解決できたらノーベル賞ものだと言われています。
あとは、身体の中から温めるという方法もあります。冬場には、鍋などもいいですし、身体を暖かくする生姜、根菜類などの食べ物を選ぶことも効果的です。アルコールも身体を温めるといえばその通りなのですが、頼りすぎないようにご注意ください。
CO2排出量のうち家庭に占める割合はわずか2%程度で、あまり大きくありません。冷房が電気を消費する大きな原因だというイメージはまだ多いかもしれませんが、日本の夏は冷房なしでは過ごせない、命にかかわる状況になってきていますので、上手に冷房を活用して快適に過ごせるようにしてください。
当然のことながら広いほどたくさんの電気を消費します。壁面から逃げる冷気が多くなるという面もありますが、冷房をつけたときに、部屋の中にある荷物を冷やすためにもだいぶエネルギーがかかります。
意外かもしれませんが、断熱が比較的できている家では24時間つけっぱなしでも、それほど極端に電気の消費量が増えるわけではありません。特に夜の間は、外気温も28℃以下に下っているのがほとんどですので、エアコンもほとんど送風に近い運転をするだけになります。
問題は昼間をどう過ごすかです。
一度窓をあけて風を通すと、部屋の壁や床のほか、部屋の中に置いてある荷物全体が熱を持ってしまいます。これを再度冷やすために多くのエネルギーが必要になってしまうほか、なかなか冷えないことにもなります。
部屋の温度と、外気温の温度差が小さいほど、省エネになります。つまり、夏の場合には温度設定を高め(控えめ)にすることで省エネになります。
省エネの目安は28℃とされており、これ以上の温度に設定することは、熱中症の危険もでてくるのであまりお勧めしません。ただ、26℃など低めに設定している方は、なるべく28℃で室内温度を保つ程度にしましょう。
エアコンの温度設定と、実際の部屋の温度が違ってくる場合があります。特にエアコンの性能が弱い場合や、設置場所が不適切の場合にはこうした「冷えない」状況が発生する場合があります。この場合には、エアコンもフル運転をしながら冷えていないだけなので、温度設定を極端に下げても意味がありません(センサーが壊れていて、涼しくならないのに停止してしまう場合は別です)。日射が入ったり、扉が開いたままだったりすると、機能しませんのでまずは閉じることが有効です。
最近のエアコンの省エネ性能はおおむね頭打ちになってきています。ただ、省エネ型とそうでないタイプで、性能の差があり、購入時に省エネ型を選ぶことで削減につながります。
省エネ性能の違いは、エアコンに表示されている星の数でわかります。5つ星が最も省エネ性能が高く、1つ星が電気消費量が多くなります。販売されている機種を集計してみても、星の数が多いほうが、光熱費削減につながるのが明らかです。
出典)家電省エネ★くらべ(エアコン) http://label.eek.jp/?m=rank&e=1
夏場は、窓から日射が入らないようにすることが、省エネになります。サッシ一枚のガラスから直接日射があたると、およそ電気ストーブ半面程度の熱が入ってきます。暑くて冷房をかける状況で、窓際に電気ストーブを置いておくようなもので、無駄になります。日射を防ぐとその分だけ冷房負荷を下げ、涼しくすごせます。昼間は真上から日射がさすので窓から光が入ることはないのですが、朝日や西日は正面から日射が入りますので、これを防ぐことが有効です。カーテンやブラインドが手軽ですし、冬場の断熱に使った「銀マット」を東や西に面した窓に貼っておくこともできます。
東や西向きのベランダがある場合は、ゴーヤなどつる植物で植物棚をつくると、雰囲気よく涼しく過ごすことができます。
(参考:ゴーヤの育て方) 5月末ころにプランターに1-2本の苗を植えると、暑くなるにつれつるが長く伸びるので、ネットを張って沿わせます。葉っぱが6-7枚つくごとに芽を摘むと、脇芽がでてここから花が咲きゴーヤが実っていきます。週1回くらい追肥をし、最も暑い時期は1日2回くらい水やりが必要になります。窓の外が緑に包まれた状態になり、またおいしいゴーヤを収穫して食べることもできます。
お風呂では、まず浴槽にどれだけお湯をためるのかを尋ねていますす。お湯の消費量は「浴槽のお湯」+「シャワーのお湯」なのですが、この簡単な足し算が、実は計算シートの苦手とするところで、仕方なく区分けをしています。
たとえば毎日お湯を貯める人は、省エネ度が0となるシャワーのお湯の使用時間は10分になっています。
「夏以外には毎日ためる」(夏は毎日ではない)家庭については、シャワーを使う時間の目盛りが次のように変わってきます。毎日ためていたら10分しか使えなかったお湯が、15分使っても同じお湯の消費量になります。
(お湯の温度以下省略)
さらに「ほぼ年中貯めずにシャワーだけで済ます」家庭の場合には、30分程度まで使うのが基準になり、浴槽にためる人より20分多く使っても同じ消費量ですみます。比較してもらったらわかりますが、シャワー20分でおおむね浴槽がいっぱいになる計算です。
(お湯の温度以下省略)
実際には、お風呂の大きさや、ためる高さもお湯量に関わってきます。
肩までつかるほどお湯をためるより、半身浴のほうが量がすくなくなります。浴槽1杯でおよそシャワー20分として計算していますので、半身浴にしている場合には次のシャワーの時間の設問で、実際に使っている時間より5分程度少なく記入してもらって構いません。
高齢の方の場合には、肩までお湯につかると心臓に負担がかかります。半身浴のほうが、健康のためにもなりますので検討してみてください。
浴槽分のお湯については、追い焚きもエネルギーを多く使うものです。断熱ができていない通常の浴槽では1時間で2℃ほど温度が下ります。水温はおおよそ20℃ですから、40℃程度まで20℃ほど加温していることになります。1時間に2℃下がるということは、1割多くのエネルギーが必要になるということです。さらに時間をあけて入る場合には、より多くのエネルギーが必要になります。
お風呂をためる頻度と関連して、使ったお湯の合計量を求めます。家族全員分でお湯を流している時間を記入してください。シャワーの音がしている時間を、脱衣所で聞きながら測るのが正確ですが、嫌がれることは確実です。
シャワーはつい流しっぱなしにすることが多く、意外と長く使ってしまうものです。水が排水溝からすぐに流れ出てしまうので、どれだけ使ったのかも把握しにくいため、使いすぎの傾向もみられます。
興味ある方は、浴槽を空にした状態で、排水の栓を閉め、浴槽の中で、いつもどおりの洗い方でシャワーをあびてみてください。どれだけお湯が使っているのかが、たまる量でわかります。もっとも、体を洗った石鹸のあわなどが流れずに少しずつ浴槽にたまっていくのは、あまり気持ちがいいものではありませんが、一生に一度くらいは試してみてもいいでしょう。結構な量をシャワーでつかってしまっているのがわかります。
お湯の温度が高いほど、たくさんのエネルギーが必要になります。
熱いお風呂が好きな方もあるかもしれませんが、これは心臓にも体にも負担がかかかります。リラックスするためであれば、40℃程度のややぬるめのお湯にゆっくりつかるほうが望ましいとされています。
給湯器には多様な種類があります。同じお湯の量を使ったとしても、選び方によってCO2排出量は大きく違ってきます。
暖房と同じように、最もCO2排出量が多くなるのが、電気を熱として使う電気温水器です。同じ電気の温水器ですが「エコキュート」はヒートポンプの機能を使うために、省エネとなっています。
一番省エネなものとして掲げているのは「太陽熱温水器併用」です。太陽熱温水器によって、冬場でも晴れていれば40℃近くのお湯をつくることができますが、晴れていないと沸かせないのも事実です。電気温水器との組み合わせは相性がよくないので、ガスか灯油の給湯器と組み合わせて使うことになりますが、おおむね4割程度削減できます。1980年頃に大きく普及しましたが、最近は設置数が少なくなっています。
出典)Panasonic
エネファームはガスを使って燃料電池で電気をつくる時に発生する熱を、お湯として活用するものです。発電所では熱として捨てられる分を活用するため省エネ性能は高く、比較的お湯をたくさん使う家庭では効果がでます。このため、大人数世帯におすすめす。2009年に家庭向けに発売がはじまり、最近の機種では、停電時も発電した電気を活用できる仕組みが搭載されており、災害時のためも考えて選ぶ人も増えています。
(参考:技術的資料) 燃料電池は、水素と酸素を化学反応させ、電極で発生する電気を取り出す形で実用化されています。水素は、家庭に供給されている都市ガスやLPガスから作りだしています。発電効率は、火力発電所と比べても遜色なく30%~60%近くにあり、さらに熱を温水として有効利用できるために、省エネになります。家庭用の給湯器(業界の愛称:エネファーム)のほか、燃料電池自動車(水素自動車)として販売されています。
出典)Panasonic
エコキュートは、ヒートポンプの機能を活用することで省エネを実現した給湯器です。エアコンのような室外機と、貯湯槽がセットで使われます。室外機がない貯湯槽だけのものは、電気を熱として使う「電気温水器」です。いずれも大人数向けです。
シャワーを使ったり、風呂にお湯をためるために必要なエネルギーは大きく、コンセントでは容量オーバーになります。また、昼間の電気は高いため、夜の単価が安い電気を使う必要があります。このため、夜間に少しずつお湯を沸かし、貯湯槽にため、それを次の晩に風呂で使うといった使い方がされます。問題は貯湯槽で、断熱をしっかりしても熱ロスが発生してしまいます。通常の運転でも1割程度のロスとなり、特にお湯の消費が少ない家庭では影響が大きくなります。また、高齢者世帯で、時々孫たちが帰ってくるという家では、人数が増えたときに湯切れを起こしてしまうこともあります。前日に沸かしておく必要があるため、調整が必要になってきます。
出典)環境白書H19、東京ガス
ガス給湯器では、形状はほぼ変わりませんが、1割程度省エネとなる「エコジョーズ」というタイプが販売されています。水蒸気として排熱されていた分を回収する装置が追加されて、効率を上げています。機器の値段はわずかに高いですが、十分に元を取ることができます。
灯油の給湯器でも、同じ潜熱回収型も開発されており、エコフィールとして販売されています。
出典)福祉医療機構 wamnet
シャワーを多く使っている場合には、「節水シャワーヘッド」がおすすめです。手元スイッチでこまめにお湯を止めることもできますし、お湯が出る穴が小さくできているので、勢いよくお湯が出て、少ないお湯でも快適にシャワーをあびることができます。およそ3割程度お湯の消費を減らすことができるとされています。値段は1000円から1万円程度で、ホームセンターなどでも購入し、自分でつけかえることもできます。
出典)環境省COOL CHOICE エコ住キャンペーン
浴槽のお湯を多く使っている家庭の場合は、追い焚きをしないような工夫も重要です。ふたをしっかりしめておくことでも熱が逃げにくくなりますし、断熱浴槽が設置されていたら温度低下が1時間あたり0.5℃程度まで小さくなり、朝方になっても温かさが残っている程です。風呂として使わなくても、冬場は洗濯に使うことができれば、お湯のほうが汚れ落ちがよいため、有効な活用につながります。
「リサイクル」よりも環境負荷が小さく優先順位が高い取組みに「リユース」があります。再使用とも言いますが、洗って何度でも使うことです。リサイクルでは、古紙や缶のように原型を壊して素材から作り直すのに対し、手間もエネルギーも少なくてすみます。
家の中で食器を洗ってもう一度使うことは、当然すぎてあえてリユースとは言われませが、考え方はいっしょです。洗ってもう一度きれいな皿にできたら、その分だけ使い捨ての容器や食器を減らすことができたことにつながります。
食器洗い機を使うのと、手で洗うのと、どちらがCO2排出が少なくなるでしょうか。このシートの最初の質問で切り替えてみると、答えが見えてきます。どちらが点数が小さくなるでしょうか。
ちなみに、使う水の量でみると、圧倒的に食器洗い乾燥機のほうが少なくなります。
食事を作る頻度が多いほど、洗い物は多くなります。ただ、「作らないほうがいい」という話では決してありません。
ここからは、手洗いをする場合の質問です。
温水器の温度調節ができるようになっていますが、最後に水と混合して蛇口からお湯がでてきます。大切なのは出口の温度になります。湯温が高いほど油汚れなどは落ちやすくなりますが、その分エネルギーがかかりますので、注意が必要です。
もっとも、湯沸かしの温度も高すぎると、ロスが大きくなる面もあります。風呂と共用の場合には、配管が長いため、湯沸かし温度が高いとその分余計に配管に取り残されるお湯も多くなってしまいます。お湯を少な目にすることも大切です。
お湯のほうが、油汚れ落ちがしやすく、特に水が冷たい冬では必須です。もちろん、手がつめたくなるのでお湯が手放せないのは間違いありません。
では、水がそれほど冷たくない季節はどうでしょうか。確かに油落ちはお湯よりも劣りますが、お湯をつくるために多くのエネルギーがかかることを考えると、水で洗うというのも有効な省エネにつながります。あらかじめよごれを水でながしておいたり、ごはんものは固まらないように食事後すぐに水につけておいたり、また油汚れは古布などで拭ってから洗うと、汚れ落ちも簡単になります。お湯を使うかどうかに関係なく、大切な省エネの工夫です。
お湯(水)の出口をシャワー状にしたり、泡を加えて出したりする蛇口もあります。食器を洗う場合には、効率よく広い面にお湯があたるようになり、少ない量でも洗うことができるようになります。
見えにくい部分で工夫がされているものもあります。たとえばお湯と水をそれぞれハンドルを回して出すタイプだと、それぞれひねるために時間がかかってロスも生じますが、シングルレバー水栓なら左右の角度で調整した上で、レバーを上げ下げすることで量の調整がすぐにできます。こまめに止めることができるのも、節水に効果があります。シングルレバー水栓は、右に傾けてレバーを操作すると水、左に傾けて操作するとお湯が出てきます。最近のシングルレバー水栓では、中央でレバーをあげると水だけが出るようになっており、省エネになっています。当然のことのようにおもえますが、以前の水栓では、中央でレバーをあげるとお湯と水が半々まざって出てくるような仕組みで、意図せずにお湯を消費することが多かったことが知られています。
水の使用を少なくするために、流しっぱなしで洗剤を使いながら洗うのではなく、たらいにためて洗ったり、水を止めて洗剤で洗ったりすることが有効です。また古布や新聞紙で汚れをぬぐっておくことも大切です。
使う水についても、なるべく細く出す工夫で、どこまで洗えるか試してみてください。
食器洗い乾燥機でも節約設定がありますので、乾燥を自然乾燥を活用したり、水で流す程度の予洗いをして簡易設定にするなど、工夫をしてみてください。
食器洗い乾燥機と、手洗とどちらのほうがCO2排出量が小さくなるのかの点ですが、お湯を使って手洗をしている家庭と比べると食器洗い乾燥機を使うほうが省エネになりますし水の消費も減らすことができます。ただし、季節によってお湯を使わないように工夫している場合など、手洗いのほうが少なくなることもあります。
調理分野は使い方が多様な分、質問できる有効な選択肢は限られています。
調理をしなくても、生きている以上、食料を口にする必要があります。出来合いの惣菜や弁当を買うにしても、その容器がごみとして問題になります。なるべくなら、自分たちで食べるものは自分たちで調理をして、食べ物のことをよく知ることが、エコな生活につながります。手間をかけて作られた食事ですので、おいしく感謝しながら食べましょう。無駄に捨ててしまうことは、もったいない話です。
家で食事を作る頻度によって、大きく異なってきますが、省エネのために調理の頻度を下げるというのはおすすめしません。
決して「料理をやめよう」と言っているのではありません。食べ物をよりおいしくいただくために手間をかけることは、エネルギーをかける価値のあるところです。
そもそも調理の有無にかかわらず、私たちは食事をしないと生きていけないもので、それをできあいの惣菜としていただくか、インスタント食品としていただくか、外で食べるかの違いがあるだけで、どこかで環境負荷を与えているものです。できあいの惣菜は便利ですが、毎回個別の包装が必要となり、どうしてもごみが増えてしまいます。
調理の工夫によってCO2排出量も変わってきます。いかに効率くよく、おいしく、簡単に料理をするのかは腕の見せ所です。
煮物の場合には、火からおろしても温度が高い状態で調理が進みます。ただ、そのまま火からおろすだけだと冷えてしまいますので、タオルや新聞紙などでくるみ、保温をしながら調理をすると効果的です。ずっと火のそばでなべを見ておく必要はなくなりますし、簡単です。おでんなどは、ずっと火にかけておくと味がしみにくく、60℃くらいの温度でしみこみやすくなります。楽をしながら、しばらく置いておくと、おいしいおでんに仕上がります。
好みもありますが、電子レンジを活用することも省エネにつながります。塊に切った野菜などを煮る場合、中まで火が通るのにはどうしても時間がかかります。電子レンジの場合には、中まで直接温めることができるため、時間を短くすることができ、エネルギー消費を減らすことにもつながります。葉物をゆでる場合にも、鍋だとお湯の分まで熱を加える必要がありますが、電子レンジの場合には少し水に濡らして電子レンジにかけるだけで、熱が通り、その後水でゆがけばできあがりです。
冷蔵庫は家庭の中で、特に生活に必須な装置であるともに、電気消費量が最も多い用途になります。その分、設置や使い方に配慮すると、削減できる効果も大きくなります。
冷蔵庫を2台以上持っている家庭が2割程度あります。比較的広い家など、古い冷蔵庫でもまだ使えるからと、2台目として使う場合もありますが、古い冷蔵庫は消費電力も極端に大きくなりがちです。できるだけ大型の冷蔵庫1台にまとめて、使わないようにするのが重要です。
冷蔵庫の買替をするときに、まだ使える冷蔵庫を下取りにだすのは「もったいない」と感じるかもしれません。広い家であれば、2台置くこともできるかもしれませんが、古い冷蔵庫をつけておくことのほうが「もったいない」ことになります。
出典)ecolife情報 https://www.hinodeya-ecolife.com/ecowiki/33.html、 省エネ型製品情報サイト https://seihinjyoho.go.jp/ のデータを元に作成
冷蔵庫のサイズが違っても、電気消費量には大きな違いはありません。むしろ近年は省エネ化が進んでいるために、使用している年数によって電気の消費量が大きく異なってきます。2006年から2019年までの間で、電気の消費量はおおよそ半分程度まで省エネが進みました。
サイズが小さいと、相対的に表面積が大きく熱が逃げやすくなってしまいます。また比較的値段がやすいため、高効率のコンプレッサーではなく、安価なタイプが使われがちです。このため、大型と小型の冷蔵庫では、消費電力に大きな差がでてこないことになります。
販売されている冷蔵庫には、安価なタイプと、省エネ性能の高いタイプがあります。購入時にどちらを選んで購入したのか選んでください。
省エネ型とそうでないタイプは、統一省エネラベルで表示され、星の数で区別することができます。5つ星がもっとも省エネ性能が高く、電気代も安くなっています。
出典)家電省エネ★くらべ(冷蔵庫) https://label.eek.jp/?m=rank&e=2
冷蔵庫の冷気が漏れるのは、扉を開けたときです。開ける回数を少なくしたり、短くしたりすることも有効です。
夏場の麦茶などは、保冷ポットに入れて、冷蔵庫の外に置いておくことで、子どもたちが毎回冷蔵庫を開けなくてもすみます。ちなみに子どもは、毎回麦茶を飲むといいながら、ついでに冷蔵庫の中のおやつを探し回り、その間冷蔵庫の冷気で涼んでいますので、その分も含めて省エネになります。
そのほか、冷蔵庫の設置の仕方ですが、壁から5cm程度離しておくことも有効です。冷蔵庫の機種によっても違いますが、冷蔵庫の側面・裏面・上面のどこかから熱を逃がすために熱くなっている部分があります。ここが壁に接していると、熱が逃げにくくなり、効率が落ちます。
家庭にまず入ってきた電気器具は照明です。エジソンが1870年代に実用化した「白熱電球」により、夜でも明るく過ごすことができるようになり、画期的なことでした。20世紀後半には効率が大きく改善された「蛍光灯」が普及し、そして21世紀は「LED」へと大きく転換しています。
点ける部屋が多いほど、たくさんつけるほどエネルギーが多く必要です。同時につける部屋の数で答えて下さい。
出典)資源エネルギー庁、無駄のない省エネ節約「照明」
LEDが圧倒的に省エネです。2010年ころから一般化したものですが、わずか10年で他の照明器具を駆逐してしまいました。電気店で売られているのはほとんどがLEDになっています。省エネであるのに加えて、寿命も長くなっています。
居間などの蛍光灯器具も長持ちするものですが、LEDに器具から付け替えることで電気代も削減になります。蛍光灯と比べて、紫外線を出さないため、虫を寄せ付けないというメリットもあります。蛍光灯器具の大掃除は、天井付近にあり大仕事になりがちですが、その掃除の手間も大きく減らすことができます。
トイレや風呂などには、昔からの白熱電球が使われている場合もあります。電球色のLED電球も販売されていますので、明るさなどを確認してつけかえてみてください。白熱電球だとおよそ1000時間で付け替えが必要になりますが、LEDにすると寿命が長いので、基本的に取り換えは不要です。
これは明確に、点けている時間に比例します。主に過ごす部屋の照明時間をお答えください。
出典)環境省、あかり未来計画
明るさを調節することができる場合には、必要に応じて暗めに設定することも省エネになります。新聞など細かい字を読むためには明るくしないと見えないでしょうが、食事のときや寝る前などは、暖色で暗めに設定して、雰囲気を演出することもできます。寝る前に明るすぎると、眠りにつきにくくなります。
LED照明は、明るさだけでなく、色合いも調整できるものが増えています。
廊下や人がいないところなどは、消しておくことで省エネになります。
防犯のために、点けておくという方もありますが、入りやすそうな場所に「センサー式照明」を付けておくほうが効果的という話もあります。
テレビが電気を消費するしくみには、大きく2つあります。一つは画面を明るくするもの、もう一つはテレビ信号を情報処理してタイミングよく画面を光らせるためのものです。
画面が大きいほど消費電量が大きくなるのは、前者のためです。4Kとか8kとか画面が細かいタイプの消費電力が大きいのは、後者のためです。
2010年以降にテレビは大幅な省エネ化がありました。ひとつは画面を明るくするための方法として、以前のブラウン管やプラズマから液晶となり、さらに液晶のバックライトもLED化されて性能がよくなりました。液晶でバックライトの光の量を調整して画像を表示するしくみですが、画面が暗い場合にはバックライトの明るさも細かく調整して画面を作ることで、より省エネ性能が高まっています。
以前はハイビジョンタイプは消費電力も大きく、パネルヒーターのように温かさを感じるほどでしたが、最近の機種は、情報処理能力が向上し、電気の消費が少なくなっています。
テレビはつい点けっぱなしにしてしまいがちで、電気を多く消費することもあります。見たい番組を決め、終わったら消すことが大切です。
寂しいのでつけっぱなしにしている場合には、ラジオや音楽なども選択肢にいれてみてください。テレビに比べてラジオは、画面を明るくする必要がない分省エネで、およそ10分の1程度しか電気を消費しません。
点けっぱなしで寝てしまうこともよくあり、明らかな無駄です。
テレビを見ながら、うとうとと寝てしまったお父さんに対して、
「なにお父さん、つけっぱなしで寝てしまって。」
と言いながら、ブツリとテレビを消すと、
「なんだよ、見ていたのに」
と突然目をさまして怒り出すことがよくあります。しかし、そう言っているだけで実際には見ていません。その証拠に、テレビを点けてあげると、またすぐに寝てしまいます。
こうした場合には、本人に気が付かれないように、ゆっくりボリュームを落として、そのあとに消してください。お互い幸せにテレビを消すことができます。
明るさを調節するなどにより、電気の消費を減らすことができます。周りの明るさに応じて自動的に調節する機能がついていますが、その中でも明るさを暗めに設定することは可能です。明るさを控えめにするだけで、2割から3割程度電気の消費を減らすことができます。
また、付けっぱなしの時間が一定時間を越えると、タイマーで消える設定をしておくことも有効です。テレビを見すぎだという警告にもなります。
リモコンには、そうした設定ボタンが用意されていますので、確認してみてください。
パソコンなど情報機器については、その性能が向上している特徴があります。情報を処理するために必要なエネルギーは、理論的には非常に小さく、まだまだ改善が進んでいる状況です。25年前に大きな工場と同じくらい電気が必要だったスーパーコンピュータの計算速度より、現在のスマホのほうが能力が上になっている場合もあります。
パソコンは大きく、据え置きのデスクトップパソコンと、持ち運びができるノート型パソコンに分けられます。ノートパソコンは、バッテリーで駆動させ、長時間使えるように、省エネ型のパーツが使われており、結果的にデスクトップパソコンよりも省エネになります。逆にデスクトップパソコンでは、コンセントから電気をとるためにその制限がなく、3Dゲーム用など性能の高いパソコンほど消費電力が多くなります。計算を行うCPUやGPUといったパーツは最大発熱量も100Wを越えるほどになり、冷やすために専用のミニ扇風機を使うことが必須となってます。
ノートパソコンでは、電源をつながずに使う場合もあるもしれませんが、電源につないでいるかどうか関係なく、使用しているときの消費電力で示しています。また使用時間も、電源をつないでいるか関係なく、実質使用している時間で評価します。その分の電気をあとで充電することになります。
ちなみに、スマホはどのくらいになるかと言えば、最近のものは動画を見ても1~2W程度ですので、省エネ度の評価では-10あたりになります。パソコンを使わずにスマホだけで過ごすと、この分野の消費を大きく減らすことができます。この小型のスマホで、パソコンの代わりになり、カメラにもビデオにもなり、テレビの代わりにもなし、しかも省エネなのですから、なかなかすごい装置です。
特にノートパソコンについては、4-5年前のタイプ(IntelのCoreプロセッサ第5世代Broadwell)から、消費電力量が大きく減り、電池の持ちがよくなっています。
パソコンをよく使う家庭もあれば、少ない家庭もあります。これはちょうど使用時間に応じて消費電力は大きくなります。電源につないでいなくても、画面をつけて使っている時間で記載してください。
ちなみに最近のパソコンは「サスペンド」もしくは「休止」の機能が充実しており、パソコンが動作を停止する状態で、電気をほぼ消費しない状態になりますが、ボタンひとつですぐに復帰できるようになっています。電源を落としてしまうと、再起動に時間がかかるので、うまく活用して、席を離れるときにはこまめに消すようにしてください。
パソコンはインターネットに接続して使う人が大部分でしょう。ただインターネットに接続するためのモデムや無線LANなどの装置も常時電気を消費しています。
もともとトイレは水を使うだけでエネルギー消費はかからなかったのですが、温水洗浄機能や、便座の保温機能があって、エネルギーを消費するようになりました。世界が驚く、日本の快適性です。家は寒いのですが。
保温は、人肌の温度ですのでそれほど高い温度ではありませんが、長時間電気を使っており、無視できない量になります。
瞬間にお湯をわかす瞬間式と、あらかじめお湯をためておく貯湯式がある。大電力は必要になるものの、必要なときに必要な分のお湯をつくるほうが、保温が不要となるため省エネです。
温水・保温機能を使っていない場合には消費は0になります。便座に腰かけたときに冷たさを感じる場合には、便座シートを活用すると冷たさがやわらぎます。何度も洗って使えるタイプもありますので、活用してみてください。
強弱の設定ができます。強に設定すると温かくなり、驚きとともに快適さを感じるのはその通りですが、本来の目的である「冷たく感じないようにする」のであれば「弱」でも一定は機能します。
温かい面を冷気にさらしていたら、冷えるのは当然です。人間も、冬は裸ですごしていたら寒いので、ふつうは服を着ます。便座だって、温かく保とうとするなら、ふたを閉めてあげないと、冷えてしまいます。冷めないように便座の保温をしているときはふたを閉めておきましょう。
分野の最後に「電力」があります。これは少し性質が異なったものです。電力会社を選んでください。
2016年から小売電力の自由化がされ、家庭でも電力会社を選ぶことができるようになっています。値段やサービスなどで選ぶ人が多いかもしれませんが、環境負荷(CO2排出係数)でも選ぶことができ、選び方によって家庭のCO2排出量が大きく変わってきます。
電力小売会社は、それぞれ発電所や電力卸売り市場で契約をして、組み合わせた電気を販売しています。その中で、太陽光発電や風力発電など再生可能エネルギーで発電された電力を集めたメニューもあり、選ぶことができるようになっています。自分の家の電気をすべて太陽光でまかなうメニューを作ることは困難ですが、日本全国からかきあつめて、再生可能エネルギーだけで生活することも可能になってきています。
新電力と呼ばれる会社は小規模なところも多いですが、小規模だからといって、電気が足りなくて停電が多くなるなどの心配はありません。大手電力会社もCO2排出係数が少ないメニューを用意している例もあり、探ってみてください。
出典)資源エネルギー庁 水力発電について
図のオレンジ色の部分が燃料に由来するCO2排出量です。石炭火力発電で行うと、CO2係数は 0.86kg/kWh程度になります。石油の場合には0.70kg/kWh、LNG(ガス)だと0.38kg/kWhまで下ります。これは、燃料に含まれる炭素の割合の違いによります。
一方、風力発電(ウィンドファーム)、太陽光発電、地熱発電、水力発電、原子力発電は、発電時に化石燃料を消費しないために二酸化炭素が発生しません。図の青色で示したように、ライフサイクルとして考えると、施設建設時や廃棄時にCO2が排出されますが、火力発電と比べると大きく減らすことができます。
電力会社によって、保有している発電所、調達で契約している発電所の組み合わせが違いますので、電力のCO2係数が異なっています。
電力会社 | CO2排出係数kg/kWh(基準排出係数) | CO2排出係数kg/kWh(調整後排出係数:事業者全体) |
---|---|---|
北海道電力 | 0.643 | 0.656 |
東北電力 | 0.522 | 0.528 |
東京電力エナジーパートナー | 0.468 | 0.455 |
中部電力ミライズ | 0.457 | 0.452 |
北陸電力 | 0.542 | 0.526 |
中国電力 | 0.618 | 0.638 |
四国電力 | 0.500 | 0.528 |
九州電力 | 0.319 | 0.347 |
沖縄電力 | 0.786 | 0.759 |
参考)温室効果ガス算定係数 令和2年提出用 https://ghg-santeikohyo.env.go.jp/files/calc/r02_coefficient_rev.pdf
さらにやっかいなことに、「CO2を排出していない」という権利を売り買いすることができるようになっているほか、電気小売事業者が調達した電気を、分割して「CO2を出さないもの」と「出すもの」にわけて販売したりしている例もあります。
身近なところでは、家庭に設置した太陽光発電の余剰電気は、FIT制度で買取がされますが、このときにCO2削減分は電気料金を払った人が買い取った形になります。このため厳密にいえば、家庭の太陽光で売電したら、売電分のCO2削減は、家庭のCO2削減として計上はできないことになります。
上記の分野では把握できない多様な機器が家庭にはあります。全ての家庭に適用できるように網羅的にしてしまうときりがないの、上記以外のものは「その他」としてまとめます。
いままでずっとマス目を数えたり、足し算と引き算だけで成り立っていましたが、ここからは、掛け算も発生します。少し計算が大変になりますので、覚悟しておいてください。
そもそも各分野で半減の選択をすることができれば、全体としても半減になります。けれども、対策が難しい分野、比較的簡単に取組める分野などがあり、単純に3マスを全ての分野で達成するのは無理があります。全体で半減ができたらいいので、うまく融通しあえればいいわけです。
そこで、各分野の標準的CO2排出量と、現状の比率・削減割合をかけ合わせることにより、家全体でのCO2排出量を計算することができます。分野によってはCO2排出量が大なものもあれば、小さなものもあります。大きな割合を占める分野については、着実に削減をかせいで、半減生活を実現していきましょう。
分野 | A CO2排出量(標準) | B 省エネ度 | C 省エネ度換算値 | D 算出CO2排出量 A×C |
---|---|---|---|---|
車 | 1,044 | |||
暖房 | 704 | |||
冷房 | 102 | |||
給湯 | 450 | |||
食器洗い | 225 | |||
調理 | 250 | |||
冷蔵庫 | 289 | |||
照明 | 272 | |||
テレビ・ビデオ | 212 | |||
パソコン・通信 | 72 | |||
温水便座 | 76 | |||
洗濯機 | 42 | |||
その他 | 505 | |||
合計 | 4243 |
部門ごとの「省エネ度」の合計数値(整数)をそれぞれ記載します。省エネ度の合計値を、下の換算表で「省エネ度換算値」に換算します。
0より小さい場合には「倍率」、1より大きい場合は「増加率」の数値を入れてください。
AのCO2排出量(標準)とCの換算値をかけ合わせた値をDに記入します。
最後にDの合計値を記入します。
以上のことを、「現状」と「対策」の両方で計算します。
平均と比べる場合には、「現状のDの合計値」÷「Aの合計値」で求めます。
現状からどの程度削減できるのか見る場合には「対策後のDの合計値」÷「現状のDの合計値」で求めます。
対策後を平均と比べたい場合は、「対策後のDの合計値」÷「Aの合計値」で求めます。
ただし、手計算を行う場合には、世帯人数の補正、地域の補正、電力の選択の効果については評価することができません。
2000年ころは、チームマイナス6%というキャンペーンを国をあけて推進してきました。国の温暖化対策基本計画の中では、家庭部門において、2030年までに2013年を基準といて40%削減することが明記されています。
ところが、2015年に合意されたパリ協定では、実質21世紀中に温室効果ガス排出を世界全体でゼロ以下にすることが示されています。CO2を出す生活などは、いずれ時代遅れになってしまうのですから、ここはいっそのこと、家庭でもゼロを実現させるのが得策です。ゼロを実現するための選択肢はそろってきているので、あとは、あなたが選ぶだけです。
環境省の統計調査では、地域別の用途別のCO2排出量の推計がされています。月別の消費量をもとに、暖房や冷房などの用途に分解しているものです。
地域差が明らかなのは、暖房で北海道や東北が大きな割合を占めている一方、沖縄では使っていないという結果になっています。給湯も全般的に寒冷地のほうが消費が多くなる傾向がみられます。
「照明・家電製品等」については、沖縄、中国、北陸などが多く、九州、近畿、関東甲信が少な目です。2倍の差が出ていますが、電力のCO2係数が違うことが大きく影響しています。
出典)平成30年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/chosa1801-2.pdf
世帯人数別に、1人あたりのCO2排出量で比較た集計をみると、世帯人数が多いほど1人あたり排出量が少なくなっているのがわかります。
1人で暮らしていても、大人数でも、冷蔵庫などの家電製品を動かさないといけませんが、大人数なら人数割りをすることができ、1人あたりで換算すると少なくなります。暖房や照明なども同じ部屋にいっしょに過ごすことができれば、共有することができ、減らすことにつながります。
近年は、世帯人数が減少し、1人暮らしの世帯が多くなっていることも、家庭のエネルギー消費がなかなか減らない理由の一つと言われています。
出典)平成30年度家庭部門のCO2排出実態統計調査 http://www.env.go.jp/earth/ondanka/chosa1801-2.pdf
私の大学時代の話ですが、環境の問題に少し関心をもっている友人がおりました。どうやったら下宿(一人暮らし)の電気を減らすことができるのか考えながら、テレビを止めたり、照明をつける時間を短くしたりなど、チャレンジしていました。そして、あまり料理もしないからと、冷蔵庫を止めるに至りました。独り暮らしでは、電気消費の中で冷蔵庫が占める割合が大きいため、電気代を大きく減らすことにつながりました。彼はさらにつきつめて、とうとう電気を一切使わずにブレーカーを落としてしまったとのことです。それでいて、なかなか豊かな生活をしているとのことでした。
どうやって豊かなエコ生活をしているのかと尋ねたところ、どうも彼女の部屋に入り浸りになっており、自分の家に帰らなくなったということです。ブレーカーを落としながら幸せに暮らしができる、秘伝の方法です。
ぜひ若い独り暮らしの方は、いい相手をみつけて幸せなエコ生活をしてください。年配の独り暮らし方もぜひどうぞ。
WEBアプリを利用すると、マス目のカウントを自動でしてくれます。「いち」「に」「さん」といちいち数える必要がありません。数えるのは3までなので、多分、縄文時代頃には誰でも行っていたことだとは思いますが、慣れないと大変なのは、現代人にとっても同じことです。
マス目を選べば、それを自動的にカウントしてくれるのですから、さすが文明の利器は違うな、としみじみと実感できるのがWEBアプリの特徴です。
ちなみにオプション機能としては、選択肢の意味について解説をしたり、標準のCO2排出量と比較したり、分野を統合した削減効果を一覧で示したり、ゼロを達成するために必要な太陽光発電設備の試算をしたり、もしゼロが達成できたときにボーナス画面が表示されたりすることもできますが、必要に応じて活用してください。スマホでも操作ができます。
どのようなしくみで計算をしているのか説明をしますが、高校生以上の数学の知識が必要になりますので、読み飛ばしてもらって構いません。
家庭での電気の消費量はkWh(キロワット時)という単位で検針票に記載されており、消費量に応じて電気代がかかりますし、二酸化炭素の発生量も比例します。
電気消費量は、消費電力(W:ワット)に、使った時間をかけあわせて求めます。
消費電力量=消費電力×使った時間
消費電力が2倍になったら、消費電力量も2倍になります。2倍の時間使ったら、消費電力量も2倍になります。逆に言えば、消費電力量を減らすためには、消費電力を小さくするか、使う時間を短くすることが必要になります。
ここでは消費電力と時間だけでしたが、いろいろな要素に分解していくと、分野ごとに、設問についての積であらわされるような要因に分解していくことができます。
例えば、テレビの場合には、
テレビの消費エネルギー
=「画面サイズ係数」×「省エネ度係数」×「購入年係数」×「時間」
でおおむね推計することができます。全体の消費エネルギーを減らすためには、画面サイズ、省エネ度、購入年、時間のどれを使って減らすことができます。
ただし、これは単体のテレビに関して成り立つもので、複数のテレビがある場合には別に評価をする必要があります。このシートでは省略をして、機器についてはよく使うテレビについて尋ね、時間のみを合計することで成果を見ています。
テレビの式について、さらに、この両辺の対数をとります。
log(テレビの消費エネルギー)
=log(「画面サイズ係数」×「省エネ度係数」×「購入年係数」×「時間」)
= log(「画面サイズ係数」)+log(「省エネ度係数」)+log(「購入年係数」)+log(「時間」)
この対数の値が、省エネ度として示したものに相当します。このため時間が単純に1時間ごとの目盛りになっておらず、1マスごとに約1.25倍になるような目盛り数値になっています。
対数の値としての10の違い(10マスの違い)を、実消費量の10倍とすることを基準に、目盛りを設定しています。
このとき、下記のとおり1目盛りは約0.8倍(2割減)となります。人間の実感として1割程度の増減はそれほど実感しにくいものですが、2割となると体感できることも多く、ちょうどいい目盛りになっています。
0.810
=(2^3/10)10
=210×3/(103×3×10 )
=(1024/1000)3/10
≒1/10
また、たまたまですが、3目盛りがおおよそ半減となります。これも目安です。
0.83 =0.512 ≒1/2
このことより、隣どうしのマス移動でおよそ2割の変化、3マスで半減(2倍)となるように選択肢を配置し、一覧で並べているものです。
有限会社ひのでやエコライフ研究所 担当:鈴木
初版 2020年10月 2日
2版 2021年 1月 5日
3版 2024年10月 9日